2011/05/15

CDの聞き方

アマチュア音楽家が、自分の演奏しようとしている曲のプロオーケストラのCD録音を聞くことには賛否両論があるように思う。聞くと真似になってしまってオリジナルを考えるきっかけを見失うから絶対に聞くべきでないという意見。逆にアマチュアだからプロの録音を聞いて大いに参考にすべきという意見。私は、両意見とも極端であり、どちらが正しいとは一概に言えないと考えている。どちらも正しい点を含んでおり、どちらも間違った点を含んでいると考えている。



私の考えははっきりしている。大いに聞くべきだ。ただし、それはあくまでも、分析的、客観的に、研究対象として聞くこと。音楽としてのめり込んでしまうこともあるだろうが、そういう聞き方をしたあとは、一度冷静になって、もう一度分析的に聞いてみたほうが良い。

なぜ、研究対象として分析的に聞くべきかというと、それは、大抵の学生オーケストラでは、プロの指導者に接する機会が限られているから。プロであれば、作曲家の生きていた時代から脈々と師匠から弟子へ直々に受け継がれてきている歌い方や弾き方、楽譜の解釈など徹底的にマスターし、身に着けている。ヨーロッパ音楽の世界も、そういった意味では日本の伝統芸能(歌舞伎など)と同じで、師匠から直々に学ばなければならない部分は多く、多教則本から学べることは意外と少ない。アマチュアではそういった直々に学ぶ機会が限られているのだから、プロの演奏を聞いて徹底的に分析することは、非常に有効な手段であると思う。そういった作業の中から、デジタル信号である楽譜というものをどう人間の心に届く生きた音楽にするかが見えてくる。

CDを聞くときに大事なのは、比較対象物を必ず決めること。それは、違う指揮者やオーケストラの演奏する同じ曲であったり、同時代の違う作曲家の曲であったり、またその作曲家の師匠や先輩にあたる作曲家の曲であったり、はたまた違う文化圏・国の曲であったり。そうやって比較することによって、対象となる曲の特徴が浮かび上がってきて、どこをどうやって強調し表現すべきなのか、そしてなぜそうすべきなのかが見えてくる。

最後に、ダイナミックレンジに騙されないこと。CDのレンジはたかだか96dbしかない。生のフルオーケストラは一般的に115dbと言われるが、ヴァイオリンソロのピアニッシモから、フルオケで打楽器もガンガン鳴っているようなフォルテッシモまで含めると、115dbどころではなく、おそらく130dbくらいはあるのではないだろうか。それは、素人が固定レベルで自分の演奏を録音したテープ(アナログ)で聞いた感覚から言えることだ。だから、CD録音に騙されてはいけない。あれは、弱い音を少しボリュームアップし、強い音をダウンして録音しているのだから、それを真似していたら、生で聞いている観客には到底ものたりないものになってしまう。

プロの演奏のCDを聞くべきか。肝心なことは「はさみの使いよう」である。

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