2011/08/26

アマチュアの理想型

アマチュアオーケストラはごまんとあるが、私が指揮をしている三木室内管弦楽団(MCO)でこだわるのは、アマチュアの理想形である。だから「楽団の理念」をあえて作ってホームページにも掲載している。この楽団の理念は、読めば当たり前のことしか書かれてはいないが、実は奥が深い。

アマチュアの理想形は、音楽が好きで、仲間として一緒に演奏したい人すべてに門戸を開くべきである。だからMCOではオーディションは絶対にしないし、楽器の経験年数も一切問わない。楽器を始めて間もない人でも入団を断ることはない。



逆に、楽器や音楽を教えている先生も団員の中にはいて、そういう人たちこそむしろ、この理念を大切に思ってくれている。ただしこのオケの中では一切私も「先生」とは呼ばないし、本人もそういった態度は一切示さない、そういう点では、皆が同じ目線でいられる仲間である。

数ヶ月前に実際にあった話だが、バッハを演奏するにあたって、弦の編成を3-3-2-1-1くらいの小編成にしようと提案したが、あるパートの「先生」から「うちのパートは全員で弾きます」と穏やかに断固として反対された。私は、ものすごく反省した。つまりパートの中で上手だから乗り、下手だから降りるという前例を作ってはいけないという言外の教えであったと思う。私はこのとき、自分で作った「楽団の理念」が頭の中から離れていたのだと思った。

もう一点、理念の中で大切なのが、練習にどれだけ来れるか来れないかは、本人の判断に任されている点である。製造業や教職員以外の多くの人は土日が休みでない。世の中土日が休みでない人は多い。MCOの団員にもそういう人は多い。ほとんど練習に来れないというだけで、その人が批判されるような雰囲気を作らないようにみんなが気をつけないといけないと思っている。また、練習に参加できる回数の少ない人は、そういう自分の立場を周りに理解してもらい、自分も仲間として頑張っている、気持はみんなと一緒だということを理解してもらう努力は必要だと思う。もちろん、合奏練習には全員が揃うのが当たり前という共通理解がなければならないが。

私がなぜこのようなアマチュアの理想形にこだわるのかというと、答えは簡単。そうでなければプロとアマチュアの間の中途半端なオケになり、いずれ分裂あるいは派閥が割れることが経験上わかっているから。つまり、アマチュアといいながらオーディションをする。そしてどんどん上手な人が入ってきて楽団全体の技術レベルがあがってきたとき、初めの頃からいた技術レベルの低い人が居づらくなって静かに去っていく。あるいは明確なルールのないまま欠席が多い人を他人が批判することを許していれば、そもそも「誰でも参加できる」オケなんて成り立たない。もう一つ、自分より下手な人と一緒に演奏するのは、確かにフラストレーションにはなる。自分より上手な人に囲まれて演奏できれば非常に楽しい。しかし逆に考えれば、周りは自分に対して「下手くそ」と思ってフラストレーションをためているに違いないのだ。全員が同じレべルのオケなんてそうめったに実現するものではない。そこにこだわれるのはプロオケしかないと思う。五重奏くらいならそういったレベルの揃ったメンバー集めにこだわらないと長続きしないが。。。

「技術や完成度にこだわる派」と、「参加することに意義がある派」に分裂することはよくある。アマチュアの理想形は、そういった分裂を回避し、人それぞれの価値観、レベルで両方にこだわることだ。そしてそれを互いに尊重しあえること。だからオケの中で濃い人間関係をつくっていくことが大切なのだ。お互いの立場や考えを理解し認めあえるそういうオケでなければ、アマチュアの理想形は成り立たない。アマチュアの理想形は簡単に手に入るものではない。しかし常にそれを目指すべきであると思う。

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