2012/05/19

創造するということ

音楽を演奏するということは、創造するということである。創造とは自らの力で、無から何かを作ることである。しかし、創造せずとも音楽は演奏できてしまうところに、大きな落とし穴がある。そういった例としては、自ら考えずに先生や上手な人から教えられたとおりの弾き方・吹き方で演奏すること。自ら考えずに「楽譜に書いてあるから」と、その通りに演奏すること。あるいは誰々指揮のCDではここのスラーをどうしていた、とかテンポがどうだったとか、そのまま考えずに真似すること、などがあげられる。

重要な点はすでに明白であろうが、それは「自ら考える」ということである。演奏会をするにあたって、いつ、どこで、何の曲を、誰のために演奏するのかを自ら考え、企画すること。どうしたら上手になれるのか、いい音楽にできるのかを自ら考え、試行錯誤の練習を積み重ねること。一つ一つの旋律、伴奏、そして一つ一つの音符で、自分は何を表現したいのか、何を伝えたいのか、訴えかけたいのか、自ら考えること。これらの一つでも欠けていれば、音を通して観客に自らの気持ちを伝えることは不可能であるし、観客に対して失礼である。なぜなら下手なアマチュアの演奏を聞くより、家でCDを聞いていたほうがましだからだ。

最初にあげた悪い例について、真似をすることそのものをいけないと言っているのではない。人から与えられた解決方法を自分なりに解釈し、自分のものにし、自らの欲求から行い「真似」することはむしろ良いことで、上達への早道でもある。もちろん、ここでいう「自分のものにしてからの真似」はもはや真似ではなく、創造と呼ぶべき領域に入っている。自分のやっていることがただの真似でないか、創造しているか、自分の心に問いかけなければならない。

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