2011/08/25

指揮棒を持つか持たないか


これは非常に重要な選択であるが、多くのアマチュア学生指揮者が、明確な理由なしに「指揮棒は必要」と決め付けているようである(自分もそうではあったが)。指揮棒を持つ目的は何か。指揮者から遠い位置にいる奏者に明確に意思を伝えるためには、ある程度の大きさの図形を空中に描かなければならない。そのためには、人間の腕の長さでは不十分であるから、棒を持ってその長さを延長しているのである。。。というのが教科書的解説であるが、それは理由の一面にすぎない。あの小澤征爾は、マーラーだろうがブルックナーだろうが、ほとんど棒を持っていないではないか。真の理由は、「棒を持たないと図形を大きく描かなくてはならず体力的にしんどい」ということだ。棒を持たないで、奏者が自分の指先に注目してもらえるほうが、棒を持つよりよっぽど表現の幅は大きくなる。つまり持つか持たないかは、スタイルの違い、好みの問題である。

では、アマチュアの指揮者として棒を持つべきか、持たないべきか、どう判断するべきだろうか。まず第一に言えることは、「斉藤メソッドでいう叩きのできない指揮者は棒を持つべきではない」ということ。叩きができないということは、素手でさえも明確なテンポを表現できないということであるから、その動きを拡大する指揮棒の先端は完全にコントロール不能状態である。ここで指揮法について詳しく述べるつもりはないが、指揮棒を持つならば、自分でその先端の動きを感じ、先端で拍を感じなければならない。握りの部分で拍を感じているようでは、先端はコントロールされていない。これは頭ではわかっていても、なかなか難しいことである。軽く握っているだけのときも含め、レガート、アクセント、スタカートなどの様々な振り方で、先端に無駄な振動や揺れがないか、自分の棒の先端をよく観察してみるべきである。自分が指揮棒をコントロールできているかどうかの簡単な確認方法は、指揮の見方をよく心得ている楽器奏者数名に、自分の指揮を見てもらって手拍子をしてもらうことだ。手を見る人と棒の先端を見る人にグループ分けして手を叩いてもらえばすぐにわかる。これができなければ指揮棒を持つなと言っているわけではない。なぜなら指揮棒が良くないかもしれないからである。ただ言える事は、その状態では指揮者としては失格であるということである。

指揮棒を持つと決めたなら、次はこちら「指揮棒の選び方」をどうぞ。

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