2010/10/05

多様性

人はそれぞれ違ってあたりまえ、ということを多様性(diversity)と言う。オーケストラに限らず、人が集まり、各人の力を集結し、一つの結果を出すという、いわゆるチームワークにおいては、多様性を認めなければ何も始まらない。多様な考え方、価値観、才能や性格を備えた人間の能力を結集することにより、個人や同じ考え方の仲間だけではできない、より高度な創造活動(文化活動・企業活動・国際貢献など)ができるのである。

日本という限りなく単一人種単一民族に近い環境に生まれ育った日本人、特に戦後の高度経済成長を支えるために行われてきた戦後学校教育は、個性や多様性を育むのではなく、国民全員を単一の価値観のもとに教育し、競わせてきた。これが要因となる、多様性に対してはマイナスとなる様々な特徴を、日本人に見ることができる。

客観的評価

演奏会を開く以上は、観客に喜んでもらうことが成功を計る指標であることは間違いない。しかしアマチュアの最大の権利として「自己満足」できればそれでよいとも言える。学生オオーケストラでは特に、自分の学年が演奏会で燃え尽きることをゴールと考えがちである。自分も学生時代はそうであった。果たしてそれでいいのか。少し考えてみたい。

オーケストラでのマナー

ここでは、あえて言いたくない「小言」ばかりを集めてみました。なぜならこういうことを教えてくれる先輩が少なくなってきたように思うからです。教えてもらえなければ、経験が無くて知らないのも当たり前です。全て洋の東西を問わず、将来どこかで恥ずかしい思いをしないためにも、オーケストラでのマナー(常識)だと思ってください。

演奏会の目的

「いま皆がやろうとしている演奏会の目的は何?」という質問に対してはおそらく、明確な答えをもっている人と、そうでない人に分かれるのではないでしょうか。そして明確な答えをもっていない人は皆、どこかうしろめたく思っているのではないでしょうか。

人間が何かをするに当たって、個人であろうと団体であろうと、目的を持たずに行動すること、あるいは間違った目的を持って行動することは、即失敗につながります。わかりやすい例を挙げてみましょう。

まず個人の例として、受験勉強をするには、「○○大学に合格する」という目的がなければ、おそらく長く厳しい道のりを歩き続けることは難しかったはずです。「とにかくどこかの大学に入れればいい」ぐらいにしか思っていないと、自分に対する甘えがでて、結局失敗することになります。また、大学生活を送るにあたっても、自分自身が社会の中でどのような分野でどう貢献していくのかという明確なビジョンを持っていなければ、どの講義をしっかりマスターするべきか、どの研究室でどういった知識・経験を身につけるべきなのかが、見えてこないでしょう。

次に団体の例としてはスポーツが非常にわかりやすいはずです。目的は勝つことです。そのために一生懸命練習をする。プロでもアマチュアでも同じことです。ブラスバンドもスポーツの試合と同様、夏に毎年コンクールがあり、金賞、関西大会、全国大会を目指して練習をするのです。企業の目的は、優れた商品を安価で顧客に供給し、その結果利益を上げ、株主に利益を還元し、従業員に労働の場を与えることです。この当たり前のことが理解できない経営者がいたため、山一証券、そごう、そして最近ではマイカルなどが経営に行き詰まり、社会に大きな損害を与えました。

ではなぜ演奏会をするのですか? その目的は何ですか?目的をもたなければ演奏会も失敗に終わります。個人個人は技術の上達など目標をもっているでしょう。しかし、オーケストラ全体としての、チームとしての目的を明確にし目標を設定し、メンバー全員の意思統一を図らなければ、必ず失敗に終わります。断言できます。これはリーダーの責任です。

目的が定まっていない状態で半年間、演奏会に向けて練習をする。そのときに遭遇しうる一番大きな問題点は、自分が目指している音楽的完成度とは程遠い状態で他の人が満足してしまっている状態でしょう。これを逆の立場から考えれば、自分は十分楽しくオーケストラ活動をしているのに、練習が足りないとか、へたくそとか他人から言われ不愉快であるということになります。こういった些細なことの積み重ねで人間関係に亀裂がはいったりすることがあります。予め皆で目的を定め、理解しあえていれば、そういったことも無くなるでしょう。三回生のトップより二回生や一回生のほうがはるかに上手な場合はどうするでしょうか?音楽的な質の向上のため下級生にトップを弾かせますか、それとも友情(?)あるいは伝統(?)を優先して三回生にトップを弾かせますか?この質問に対して明確な答えが出てこないなら、あるいは皆の意見がばらばらなら、それは即、演奏会の目的、オーケストラの活動目的が明確ではないということを意味します。

私からは答えは示しません。答えはオーケストラ全員が(運営面・音楽面の)リーダーシップのもとに結論づけるべきものです。一つだけ、考えて欲しい要素をあげておきます。それは、「演奏会は作曲家によって書かれた楽譜を、演奏者が音にし、聴く人と演奏者が感情を共有しあうという行為である」ということ。この中の一つでもが欠けると成功とは言えません。

最後に、目的が定まったならば、そのための具体的な目標をいくつか設定する必要があります。目標は達成できたか否かが計測可能なものでなければなりません。例えば、アンケートで5段階評価をしてもらって平均xx点以上とか、観客動員数を何人以上とか、、、いろいろ考えられるでしょう。そして、その目標にむかって進んで行く作戦、戦略を設定しなければなりません。演奏技術面、資金面、スケジュール的に厳しい仕事、現役で欠けているパートをどうやって普段の練習にとりこんでいくか、などいろいろ考えなければなりません。そして、常に活動の目的を肝に銘じ、そのために何が正しいことなのか、パンフレットの内容はどうするのか、スポンサーを募集するのか、誰に対しての演奏会なのか、目的に合致した演奏会の会場はどこなのか、その内容(選曲)はどうすべきなのか、ということも。

参考:池添 道則 あじさいコンサートについて