2011/09/17

ホールという大空間で成功するための練習


大抵のオーケストラは、普段の練習を音楽室やリハーサル室など、オーケストラが入ればそれだけで部屋いっぱいという狭い空間で練習している。しかし本番のホールの舞台に乗れば、音で満たすべく空間容積は普段の練習場所の数倍から時には10倍以上となる。ここで問題になってくるのが、1) 一人ひとりが音を遠くへ届かせることと 2) 目で確認して合わせること、の2点である。

音程感覚を身につける


音を物理的に表現したときの4つのパラメーター、基準周波数(音程)、波形(倍音構成)、エネルギー(強弱)及びその時間変化(発音、余韻など)のうち、心地よい音楽を聴いてもらうために何が最も重要かというと、それはおそらく音程であろう。音程がとれていないソロもたいがいだが、音程が合っていない合奏ほど聞いているものにストレスを与えるものはない。つまり音程の合っていない演奏は苦痛だということ。他方、その他のパラメーター、倍音構成つまり音色や、強弱、発音・余韻などが多少ダメでも、ハーモニーさえ合っていれば、かなり聞き心地はよい。音程は訓練すればきちんと取れるようになる。あきらめないで練習することが肝心。

ほとんどの技術は努力で得られる

奏者にとって、練習量・努力によって克服できることと、そうではなく才能・センス・耳が関係することとの違いを知っておく必要があります。そして前者については、「来週までに出来るようにしておいて下さい」等と奏者に対しては厳しく臨むべきです。また「練習次第で出来ることなのだ」と励ましてやることも大切です。後者については、地道にその奏者、あるいはパートと一緒に取り組んで行くという姿勢を示すことが大切です。多くの人が「自分にはセンスがないから無理だ」と思っていることが、実は努力によって誰でもが克服できることが多いのです。その例は多くあり、速いパッセージ、音をはずさないこと、正しいリズム、一定のテンポ、音程、ハーモニー、読譜力、周りを聴いて合わせること等まだまだありますが、オーケストラで音楽をつくっていく技術のほとんどが、努力によって得られるものであることを知っておいて欲しいものです。しかも脳科学の見地から、これらは大人になってからも可能であることが実証されています(天才はいない)。

2011/09/16

チューナーは両刃の剣

技術が進歩し、いろいろと便利な道具が手に入る次代、オーケストラの世界もまた例外ではない。その一つにチューナーに接続するピックアップがある。管楽器だろうが弦楽器だろうが、自分の楽器の適当なところにゴムのクリップを留めると、合奏の最中でも自分の音だけをチューナーが拾い、自分の音程を確認できるというすぐれもの。いろいろなオーケストラで最近は、合奏練習中にこれを常に使っている人を良く見かける(管楽器に多い)。確かに便利なのだが、私はこの使用方法には警鐘を鳴らしたい。絶対にやってはいけないことの一つと思う。

その理由はいろいろある。まず第一に、基準となる音程は常に変化していること。オーケストラでのハーモニーは純正調が基本である。したがって基本的な主和音、属和音、下属和音であっても、チューナーのど真ん中に合わせている様では美しいハーモニーは得られない。ましてや、古典派以降の音楽をするにあたっては、純正調の限界を超える複雑な和声が取り入れられているのだから、基準は常に変化している。基本的にはメロディーが綺麗につながるように、内声部はその音程を微調整しなくてはならない。つまり記譜上同じ音程でも、実際に演奏すべき音程は場所によって異なる。

第二に、アマチュアのレベルではさらに難しく、基準となる音程は、お互いに音程が悪い者同士で力比べをしているようなもので、大抵は音量の大きな楽器、音程が上ずっている楽器が基準となってしまい、多くの人がそこへ無意識のうちに合わせてゆく。だから自分だけチューナーを基準に「自分が正しい」と主張するのは、建設的でなく全く意味がない。その主張が効力を発揮するのは、唯一管楽器セクション全体が弦楽器セクションとずれてきた場合。弦楽器は常に開放弦という基準があるから、そこへあわせるのは正当な方法である。しかし、この場合もチューナーを基準にするのではなく、あくまでも耳で聞いて自分の音を弦楽器に合わせるべきである。そして自分が正しいと思っている音程で他の管楽器をリードしていくべきである。

最後に、こういうチューナーの使い方をしていると、いつまでたっても自分の耳で正しい音程をとることができない。「この人、いい音程で吹いているな」と思って、チューナー無しでデュエットなどをしてみると、自分自身で音程をとれていないことがすぐにわかる。私はこういった例を山ほど見てきた。

では、どうやって音感を訓練するか。チューナーは使い方さえ間違わなければ非常に有効な道具である。私が勧めるのは以下の練習方法。まずドの音をチューナーで合わせ、覚える。そこからチューナーを見ずに、スケールで一オクターブ上がり、そこでチューナーでドを確認する。やってみると意外と簡単ではないことがわかるはずだ。まず、これがきっちりとできなければならない。これができたら、一旦チューナーから離れて、ピアノを使う。ピアノのペダルを踏んでドを弾き、オクターブのスケールを自分の楽器でやってみる。ミ、ソ、ドがピアノのドにきちんとハモるかどうか、チェックする。同様にV7の和音、IVの和音もピアノで根音を鳴らしながらやってみる。ただし、知識として、この場合のIの和音以外の他の和音は、いわゆる純正調ではないことは知っておくべきである。なぜなら基準となるピアノがすでに12平均律でチューニングされているからである。これができるようになったなら、またチューナーを使ってみる。今度は、練習曲でもなんでもいいから、曲を吹きながら、時々チューナーに目をやる。自分の思っている音程が間違っていないかどうかを確認するのである。しょっちゅうチューナーを見て、いちいち合わせるのではなく、あくまでも、自分の耳で音程をとり、それがずれてきていないかどうか、時々チューナーで確認するのみに留めておくべきである。

最後に、私が音感を鍛えた方法をここに書いておく。私はエレクトーンで育ち、管楽器を、中程度のブラスバンド、オーケストラで吹いてきた。だから音感はあまり良くなかった。これを克服できたのは、弦楽器を徹底的に練習したからである。これは指揮者として、様々な弓使いをマスターすることが主目的であったが、音感を鍛えるのにも非常に有効である。単純なスケール練習だけで、スケールが開放弦に来たときに、自分の音程のずれを嫌というほど思い知らされた。これがきれいに弾けるようになる頃には、音感が身についていた。少しずつできるようになったというよりは、あるとき突然音程の感覚のコツを覚えた記憶がある。

合奏中も常にチューナーに頼っていては、この「突然の気づき」のような瞬間は決して訪れない。なぜなら、ハーモニーは正しくないか、正しいかという白か黒かの問題で、どの程度正しい音程からずれていて、どの程度まで正しくできるかという問題ではないからである。皆で作るハーモニーも、「徐々に良くしていこう」ではダメ。本当のいい響きを実感できなければ、いつまでたっても正しいハーモニーは生まれてこない。耳を使い完璧をめざそう。

脳を鍛える

以前から左脳は論理、言語、右脳は立体認識や芸術などに司っていることは知っていたが、最近それを意識的に鍛えることができるのではないかと思い始めた。理由はこうだ。私は小さい頃からエレクトーンで育った。ピアノと違いエレクトーンは、右手には早いパッセージが多くでてくるが、左手はもっぱら和音を使った伴奏である。その分左足を多用するが、足の指先を細かく使うわけではない。また、小さい頃から和声、カデンツァ、編曲、即興演奏などを習ったが、YAMAHAのカリキュラムかどうかは知らないが、もっぱらパターン化されたことを習った気がする。グレードアップ試験のための勉強であり、ある意味受験勉強に似ていた。

習うこと、学ぶこと

プロの音楽家にレッスンを受けることが、楽器上達への近道であることは、ほとんどの場合においてまず間違いない。しかし、そうではない場合もあるので、これからレッスンを受けようと思っている人は、自らを振り返り、以下のような勘違いをしていないか、よく考えてみてほしい。「自分で練習するより、習ったほうが楽に、簡単に、早く上達するだろう。」あるいは「自分の演奏は今ひとつ音楽的でないから、習ったらもっと音楽的になるだろう。」というような考えだけでレッスンについても、その効果は疑問である。漠然と「自分は下手だ」と自覚しているだけで、人から習っても、決して身につくものではない。それまでに自ら徹底的な研究・練習を繰り返し、壁にぶちあたり、自分の何が問題なのかをよく考え、それに挑戦し、それでも納得がいかない場合にのみ、教えてもらったことが、暗闇に差し込む一条の光のように思え、それが身につくのである。自らの努力なしに教えてもらって、その場でだけ分かってできるようになっても、それを維持していくことはまず無理である。それは、外国語を習得するのに、自らを日本語の通じない環境に置くことをせず、常に辞書に頼るようなものであり、自分で1冊の本を読むことをせず、人が書いた要約を読んで、1冊読んだ気になっているのと同じことである。なお、ここで言及していることは、プロの音楽家に習う場合のみならず、先輩に教えてもらう場合も同じであるし、数学や化学などありとあらゆる学問を習得するについても同様である。

演奏の三要素を理解し伸ばす


音楽を演奏するには、楽器奏者であれ、指揮者であれ、音楽的であること、自分の意志を人に伝えるということ、そして音を出す技術、の三つの要素がどれも必要不可欠です。どれも演奏するためには必要不可欠ですあり、上に挙げた順番に特に意味はありません。上手あるいは下手と一言でかたずけてしまわずに、自分自身の能力を客観的に分析し、何を伸ばす必要があるのかを正しく理解することが、上達への近道です。技術的上達度合い、精神面での成熟度、経験などによって、何が不足しているかは人それぞれです。以下にそれぞれの要素をいかに伸ばしていくか、私なりの経験をまとめてみました。

目標を知る


楽器が上手になるためには、目標を持たなければいけない。私は学生には二つの目標をもってほしいと思う。一つはCDなどで聞く一流の演奏家。二つ目は身近に聞くことのできる先輩、友達、先生など。一つ目の目標については、誰でももっていると思うのでここでは議論しない(もっていない人は論外)。では、なぜ身近な人を目標として持つべきかというと、それは実際の音の比較のためである。CDやコンサートホールの客席で聞く音は、いわゆる「聴く側の音」であって「出す側の音」ではない。「聴く側の音」を自分で出す音の目標におくことは、とんでもない間違いであり、アマチュア演奏家の多くがこの落とし穴にはまっている。では「出す側の音」とはどんなものか。

アンサンブルのすすめ


指揮者を含めオーケストラ奏者には、ぜひとも常日頃からアンサンブルに親しんでほしいと思います。二重奏から五重奏くらいまでのアンサンブルで息を合わせて気持ちの良い演奏ができないのなら、その奏者はオーケストラの中でいい演奏はできません。したがってオーケストラとして生き生きとした演奏はできません。なぜなのか説明しましょう。

2011/09/11

List of Works Conducted Other Orchestras

その他のオーケストラで、指揮をした曲のリスト(ただしカッコつきは演奏会本番の経験のないもので、プロ指揮者の下振りや後輩の指導などでの経験のもの)

List of works that I conducted other orchestras. In the parentheses are the ones that I did not go on stage but worked as assistant conductor or the trainer for young conductors and orchestra.